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遠い夏の日のちょっと不思議な話・・・その5
2009/12/10(Thu)
南岳小屋を後にして、僕たちは再び歩き出しました。
北穂高小屋までは、これから約3時間。
そしてここからは、日本三大キレットのひとつ、「大キレット」です。
キレットというのは・・・うまく説明できませんが、ゴツゴツした岩でできた馬の背中のような稜線・・・
とでも言えばいいのでしょうか・・・
右を向いても左を見ても、ただただ深い谷・・・
ここ「大キレット」は、国内の一般コースとしては、最も難易度の高いコースのひとつ(慣れた人にとってはそれほどでもないのかもしれませんが)・・・とも言われています。
そしてそこには、「長谷川ピーク」、「A沢コル」、「飛騨泣き」などといった難所が続いています。
その当時あったのかどうか憶えていませんが、現在「大キレット」の入り口の看板には、こう書かれています。

「近年、これより先の大キレットでは、重大事故が頻発しています。
 大キレットは、難易度・スケール共に、日本屈指のハードなルートが続きます。
 いま一度、天候・体調・装備などを確認のうえ、事故のないように気を引き締めて!
 無事に通過されることを願います。
 ※ 午後2時以降の通過はお控えください」

しかしまあ、初の登山によくこんなコースを選んだものだと、今さらながら思います・・・(^^ゞ

ところで、「山の天気は変わりやすい・・・」
よく耳にする言葉ですが、本当でした。

まず僕たちは、とにかくものすごく急な岩場を延々と下りました。
その後、どの時点であったのか定かではないのですが、
それまでの快晴がまるでウソのように、辺りには霧が立ち込め出しました。
まるで、昼食にのんびりと時間を費やしていた僕たちをあざ笑うかのように・・・

後から聞いたことなのですが、
登山では、天気が良ければ午前中にできるだけ目的地に近づいておくというのが常識だそうです。
それは、この日のように、午後になって天候が急に崩れることがあるからです。
ですから、時間を要する行程の場合なんかは特に、
僕たちのようにバーナーを出してのんびりと昼食をつくることなんてふつうはせず、
歩きながらカロリーメイトなどで栄養補給(行動食というやつですね)をする人たちが多いらしいのです。

登山道には、ペンキで〇印や矢印が描かれた岩がところどころに見受けられます。
これは、登山者が迷わないようにするためのもので、
この〇印や矢印が見えていれば、とりあえずコースは外れていない、ということなのです。

ところが、急激に立ち込めてきた霧のため、今までところどころで確認できていたその〇印や矢印がついた岩が、ひとつも見えなくなってしまいました。
当然、歩みはゆっくりになってしまいます。
それに加えて、前日ほどではなかったですが、僕はまたバテバテになっていました (>_<)
そこで、体力抜群で身軽なYくんが、
「ちょっと様子を見てくるわ~」
と言い残し、その霧の中を一人で偵察に行くことになりました。
今考えれば、ほんとうに危険な行為です・・・

Yくんを見送った僕たち三人・・・しかし、
「じっと止まっていてもしゃあない・・・きっと一本道のような感じやろうから、進んでいけるはずや。
 まあ、コースを外れてしまうことなんてないやろうから、ゆっくりとYを追いかけようや」
という安易な考えのもと、腰を上げて再び進み出しました・・・
そして、思えばこれもまた、ものすごく恐ろしい判断ミスでした・・・

ある地点で、僕たち三人は、右下方に向かって下り始めました。
あい変わらず、〇印や矢印のついた岩は確認できませんでしたが、
「道らしいものがその方向(右下方)に延びているし、他にはルートらしいものなんて見当たらない」
と、三人が三人とも思っていました。
そして、下り始めて2、3分経った頃だったでしょうか・・・

「ハハハ・・・!!」
というYくんの大きな笑い声が突然、もと来た道の方から聞こえてきたのでした。
僕は、後ろを歩くHくんに、
「聞こえた? 今、Yが笑ったよな?」
と訊ねました。Hくんも、
「聞こえた、聞こえた。確かにYの笑い声や!!」
と言いました。
しかし、僕のすぐ前を歩いていたはずのMくんだけは、その声に気づいていません。
そんなはずはないのですが・・・
僕のほんの2、3m前方を歩いていただけなのに、あんな大きな笑い声が聞こえないなんて・・・

もと来た道の方を見上げても、霧のせいでYくんの姿は見つけられませんでした。
しかしそれでも、Hくんと僕は、Mくんを呼び止め、Yくんの笑い声が聞こえたことを告げました。
Mくんは、納得できない様子でしたが、
「Yが上におるんやから、この道は正規のルートではないっちゅうことや。
 まちがった道を行くとこやったなあ、アブナい、アブナい・・・」
ということで、僕たちは引き返しました。

しかし、なぜ「笑い声」だけだったのか・・・
なぜ、「お~い、そっちとちがうぞ~!!」というような呼びかけではなかったのか・・・
それに、こちらからYくんの姿は確認できないのに、なぜYくんからは僕たちの姿が確認できたのか・・・
今思えば、たしかに不思議なことなのですが、そのときの僕は疲れのせいなのか、
それを不思議だと感じることさえできていませんでした。

そのときの僕はこう考えていました。
「本当は道は二つに分かれてたんやなあ・・・
 それを俺たちは三人とも、なぜかまちがった方の道しか見つけられなかったんや。
 ちょうど引き返してきたYが、下っていく俺たちの姿を見つけて、
 あっ、あいつらまちがった道を行っと~るわ、と思って『ハハハ!!』と笑ったんやろな・・・」
それから、こうも考えていました。
「こっちからは見えへんけど、Yからは俺らが見えてるんやな。
 笑い声のあとにYの声が何も聞こえないのは、俺らが引き返しているのがYに見えてるからや。
 もし俺らがそのままさらに下ろうとしてたら、Yはきっと必死になって、
 『そっちとちがうぞ!!引き返してこい!!』と叫ぶはずやからな・・・」

引き返してもとの道に戻れば、そこにはYが待っている・・・
当然僕たちは、そう考えていました。
ところが・・・
Yくんはおろか、誰ひとりとしてその場にはいませんでした。
呆然とするHくんと僕・・・いぶかしげな表情のMくん・・・
「なんでYがおらんのや・・・」
イヤな予感が、ふと胸をよぎりました。
MくんもHくんも、きっと同じことを感じていたでしょう。
「ひとりで行かせたのは、マズかった・・・」
後になって気づいても仕方ないことですが、心底そう思いました。

「どうしよう・・・」
しばしその場に立ちすくむ三人・・・
と、霧の中から人影が現れました。
Yくんです。

ホッとすると同時に、「おまえな~、どこにおったんや?姿が見えへんかったからビビッたやんけ~」とYくんに声をかける僕たち。
しかし、Yくんは、「なんのこっちゃ?」というような顔をしています。
そこで僕たちは、
「おまえの笑い声が聞こえたから、ここへ引き返してきたんやで」
「そうそう、あの笑い声が聞こえへんかったら、あのままドンドン行ってしまうとこやったわ~」
と伝えました。

ところが、Yくんの次の言葉は、意外なものでした。
「そんなはずないわ~。俺も今、向こうからここへ引き返してきたとこやねんで」
にわかには信じられないような話でした・・・
Mくんはともかく、Hくんも僕も、あれだけはっきりとした笑い声を聞いたのです。
そして、絶対にそれは、Yくんの笑い声でした。
「不思議やなあ・・・絶対におまえの笑い声やったけどなあ・・・」
Hくんと僕は、同じことを呟きながらいつまでも首を傾げていました。
すると、Yくんが、
「いや、実はな・・・俺がここへ引き返してきたのにも理由があってなあ・・・」
と、話し始めたのです・・・


本日も、おつき合いいただきまして、まことにありがとうございました m(_ _)m
次回へ続きます~ (^^♪


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コメント
- 神秘的な展開 -
お~気になる~ ピョーン°゜°。。ヘ(;^^)ノ
あの笑い声は何だったのか?
骨男は今晩は眠れそうにないですネ
持病の無呼吸症候群も出ないでしょう(^_^)b
なぜなら寝られなかったら呼吸は止まりませんので~
ヘ(^^ヘ)(ノ^^)ノ
お後がよろしい様で・・・
2009/12/10 18:35  | URL | 骨男 #FXbBe/Mw[ 編集] ▲ top
- 骨男さん、ありがとうございます -
こんばんは~、骨男さん (^◇^)
いつもありがとうね~ m(_ _)m

笑い声の正体は、この先もきっと解明されることなく、
永遠のナゾのままでしょうね・・・(^^)
でも、「それでいいのだ」(by バカボンのパパ)
そういうことのひとつやふたつ、人生の中にあったほうがいいような気がします (^_-)-☆

まあそれはともかく、無呼吸症候群は本当に治ってくれたらいいねえ (^v^)
2009/12/10 20:05  | URL | N #4.PzH.q.[ 編集] ▲ top
- Nさん -
私は読書が好きなので毎日楽しみです。
学生時代は帰りの電車では本に夢中になって
降りる駅を通り過ぎてしまう事もよくありました
最近は宮部みゆきの本所深川ふしぎ草紙を読み終えました。Nさんのお好きな作家は何方ですか?
2009/12/10 21:47  | URL | りら #-[ 編集] ▲ top
-  -
Nさん、こんばんは♪
かなり佳境に入ってきましたね~!!
まず、前半部分では、これまでNさんオススメのサイトで見てきた素晴らしい風景の写真を思い出し
ながら、「あっ、あの辺かな…」などと具体的な映像(?)を想像することができました!…で、
「バーナーを出してのんびりと…」のところで、ちょっと笑ってしまいました。すみません(笑)。
でも、登山に不慣れだと、経験者なら常識のことも、なかなか気づかなくて当然ですよね…。

それにしても、霧の中では、みなさん、かなり危険でしたね、、、一歩間違えれば「遭難…」なんて
ことも考えられますし…。ただ、普段の生活でも、時々、後から考えて「もう少しで危ないところだった…」って思うこともありますから、「その場で、的確な判断を!」なんて、言うは易し行うは難し、
ですよね。とりあえず、ご無事で何よりでした!

ところで、霧の中で聞こえてきた「笑い声」。不思議ですね。
その声が「Yさんの声」、というのが本当に不思議です。「誰かの声」ではないんですもんね…。
う~ん、Yさんのお話の先が気になります!とても!
2009/12/10 23:21  | URL | shun #JalddpaA[ 編集] ▲ top
-  -
Nさん、こんばんは☆

え!こ、こ、怖いですよ~!それ!(;_;)
誰の声だったんですかね?そしてYさんの戻ってきた理由は?!
それにしても、本当に危険な山だったんですね。初めての登山とは思えません(>_<)無事でよかったです~(´v`;)
2009/12/10 23:35  | URL | Aki #EVEuRZgM[ 編集] ▲ top
- りらさん、ありがとうございます -
こんにちは、りらさん (^^)
僕も学生時代は、本当によく小説を読んでいました。
宮部みゆきさんの作品は読んだことはないですが、
映像化されたものを拝見する度に、面白そうだなあ、とかねてから思っていました。
今はほとんど読書はしませんが、東野圭吾さんや浅田次郎さん、藤沢周平さんの作品なんかいいですね (*^_^*)
2009/12/11 11:29  | URL | N #4.PzH.q.[ 編集] ▲ top
- shun さん、ありがとうございます \(^o^)/ -
こんにちは、shun さん (^_-)-☆
いつもありがとうございます m(_ _)m
本当に、無事で帰ってこられてよかったです (*^_^*)

バーナーまで出して昼食をつくったことは、ほんと、笑われても仕方ない行為です (^^ゞ
そうそう・・・
Mくんは唯一の登山経験者、と書きましたけれど、これほどまでの本格的な登山は、どうやら彼もこのときが初めてだったそうです。
まあ、若気の至りと言うか、全員が揃いも揃って慎重さに欠けていました (≧▽≦)

そうなんですよ、本当に一歩まちがえれば・・・という場面の連続でした (+_+)
僕はどちらかと言えばけっこう「おっちょこちょい」なので、ふだんの生活でも気をつけないといけないなあ、と思っています。もういい年なのにね、お恥ずかしい・・・(^◇^)

おっしゃるように、あの笑い声が「誰かの声」ではなくて確実に「Yくんの声」であったのが、本当に不思議です・・・
それでは最終話、どうぞお楽しみください~ (^_-)-☆
2009/12/11 11:48  | URL | N #4.PzH.q.[ 編集] ▲ top
- Aki さん、ありがとうございます -
Aki さん、こんにちは (^^♪
そうでしょ、怖いでしょ、フフフ・・・(≧▽≦)
誰の声だったのかは、今となってはもう永遠のナゾです・・・(+_+)
そして、この後Yくんから聞かされた話もまた、不思議なものだったんですよ・・・(--)
でも、初めての登山に選ぶべきコースではなかったですね、ホント (^^ゞ
よくまあ四人とも無事に帰ってこられたもんです。
どうもありがとうございました~ (^^)
2009/12/11 11:57  | URL | N #4.PzH.q.[ 編集] ▲ top
- 声の主 -
こんにちは。
穂高は上高地を散策した時に、遥か遠くにそびえておりました。
すごい雄々しい山ですよね。そこを登山したなんて凄いです。

声の主は……きっと物まね上手な天狗の仕業かも?
続きを待つ事に致します。
2009/12/11 12:22  | URL | 森野帽子 #GxAO5jdM[ 編集] ▲ top
- 森野帽子さん、ありがとうございます -
こんにちは~、森野帽子さん (^^♪
いや~、スゴいというか・・・若気の至りです~ (≧▽≦)
なるほど・・・心優しい天狗さまですか~・・・
そうだったのかもしれないですね !(^^)!

本日、最終話UPいたします。
どうぞお楽しみに~ (^^ゞ
2009/12/11 12:52  | URL | N #-[ 編集] ▲ top
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